【シネマプレビュー】「リチャード・ジュエル」





映画「リチャード・ジュエル」の一場面=(C)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC、提供写真)

 今年、90歳を迎えるクリント・イーストウッド監督の最新作。1996年、米アトランタで起きた爆破事件をめぐる実話に基づくサスペンス・ヒューマンドラマだ。爆発物の第一発見者で現場の市民を避難誘導して多くの命を救った実在の警備員、リチャード・ジュエルが主人公で、映画のタイトルにもなっている。

 事件直後は英雄だったリチャードが、捜査当局の「孤独な爆破犯のプロファイリングに合う」という先入観による捜査とメディアによって事件の第一容疑者にされた。リチャードは罪人の汚名を返上するため、母親や弁護士とともに国家権力と世論を相手に闘うことに…。

 捜査当局による冤罪(えんざい)、事件や事故が起こる度に浮上するメディア・スクラムなどの問題は現在も世界のどこかで起きている。犯人と見なされた人間を執拗(しつよう)に追い立てる群集心理や一度、失った名誉は決して完全には回復されない事実を突きつけられ身につまされる。

 母親役のキャシー・ベイツがアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。17日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。2時間11分。(啓)

 ★★★★

 (★5傑作 4見応え十分 3楽しめる 2惜しい 1がっかり ☆は半分)



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