野党は20日召集の通常国会で、自民党衆院議員が逮捕されたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件や、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」をめぐる疑惑を中心に政権を追い込む構えだ。ただ、自民党の政党支持率が高止まりする一方、野党合流に対する国民の期待は高まっていない。衆院解散・総選挙に向け、閉塞(へいそく)感を打破できるかが焦点となりそうだ。(中村智隆)
「子年だからといってドブネズミが元気に走り回る年にしてはいけない。究極のドブの安倍長期政権を倒す国会とするために力を合わせていきたい」
野田佳彦前首相は所属する野党統一会派の会合でこう述べ、「打倒安倍」を声高に訴えた。国民民主党の玉木雄一郎代表も「一人一人が得意分野で成果を上げ、大きな固まりとして政治を変える国会にしたい」と力を込めた。立民や国民など主要野党はこの日、カジノ営業を禁止するための法案を衆院に提出。既に成立したIR整備推進法とIR整備法を廃止する内容で、IR推進を目指す政権に待ったをかける。
桜を見る会をめぐる問題でも昨年の臨時国会に引き続き政権を徹底的に追い込む考えだ。招待者名簿の取り扱いで公文書管理法違反があったことを認めた菅義偉(すが・よしひで)官房長官の辞任などを求める方針だ。さらに、前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員、経済産業相を辞任した菅原一秀衆院議員ら、公職選挙法違反の疑いが持たれている自民党議員も追及の標的となる。
野党の鼻息は荒いが、必ずしも追い風が吹いているわけではない。
今月の産経新聞社などの合同世論調査では、立民、国民、社民の3党の合流構想に関して「大義がある」との回答は26・4%にとどまった。立民と国民との合流交渉は暗礁に乗り上げており、立民幹部は「(民進党時代は)一緒にやってきたが、一回別れるとやっぱり難しいんだな」と嘆いた。
政党支持率も39・3%の自民に対し、立民はわずか5・9%。首相が解散・総選挙に踏み切る条件が整いつつあるとの見方もある中、追及の指揮をとる立民の安住淳国対委員長も統一会派の会合で次のように警戒感をあらわにした。
「野党にバラバラ感が出たり、隙を見せたりした瞬間に解散をしてくるだろう。容赦のない与党の攻撃にさらされるのは逆にこちらのほうかもしれない」