「日米同盟、さらに強化」茂木外相の外交演説要旨





衆院本会議で外交演説を行う茂木敏充外務相=1月20日午後、国会(春名中撮影)

 ▽総論

 安全保障面も経済面も新たなルール作りを先導し、国際秩序をより安定したものへと再構築する。安倍晋三首相の「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」をさらに前に進めるため「包容力と力強さを兼ね備えた外交」を展開する。

 ▽米国

 わが国の外交、安全保障の基軸であり、地域の平和と安定に貢献する大きな役割を担う日米同盟をさらに強化する。同盟はかつてないほど盤石だ。本年は日米安全保障条約の署名から60周年に当たる節目の年だ。在日米軍の安定的な駐留のためには地元の理解が不可欠であり、地元の負担軽減に全力を尽くす。

 ▽北朝鮮

 弾道ミサイル発射といった挑発行為は全く受け入れられない。日米、日米韓の結束の下、北朝鮮の完全非核化を目指す。

 ▽中国

 今春予定される習近平国家主席の国賓来日を見据え、懸案を適切に処理しながら、あらゆる分野で交流、協力を発展させる。東シナ海での一方的な現状変更の試みは断じて認められない。冷静かつ毅然(きぜん)と対応する。南シナ海をめぐる問題についても、国際法に基づく紛争の平和的解決の重要性を強調していく。日本産食品の輸入規制や邦人拘束についても中国側に前向きな対応を強く求める。

 ▽韓国

 日韓間の最大課題である旧朝鮮半島出身労働者(いわゆる徴用工)問題については、韓国側の責任で解決策を示すよう引き続き強く要請するとともに、問題解決に向けた外交当局間の協議を継続する。

 ▽ロシア

 懸案の北方領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、交渉責任者として粘り強く交渉に取り組む。

 ▽中東

 世界の主要なエネルギー供給源である中東地域の海域で、航行の安全を確保することは重要だ。情報収集態勢強化のために自衛隊の艦艇、航空機を活用する。外交努力を継続し、中東地域の平和と安定に向け取り組む。

 ▽経済外交

 新たな共通ルール作りを日本が主導する経済外交に邁進(まいしん)。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の本年中の署名や、欧州連合(EU)を離脱する英国との速やかな通商交渉開始を目指す。

 ▽核軍縮

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議で有意義な成果を上げられるよう、国際的な議論に積極的に貢献していく。

 ▽五輪

 東京五輪・パラリンピックに、多くの海外要人や外国人観光客の訪日が見込まれる。日本の豊かな文化や食、美しい自然、先進的技術、そして日本人のホスピタリティーといったさまざまな魅力を世界に発信していく絶好の機会だ。



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