新型肺炎で死者9人、発症者440人に拡大 米やマカオも初確認





20日、新型肺炎患者が治療を受けている中国・武漢の病院で、マスクを着用した警備員(ロイター=共同)

 【北京=三塚聖平、ニューヨーク=上塚真由、香港=藤本欣也】中国国家衛生健康委員会は22日、北京で記者会見を開き、湖北省武漢市から感染が広がった新型コロナウイルスによる肺炎で死者が計9人、発症者が計440人になったことを明らかにした。新型肺炎について中国政府が記者会見を行ったのは初めて。

 発症者は22日までに、中国の集計には含まれていないマカオのほか、アジア圏以外では初めて米国でも確認された。武漢では2月に開催予定だったボクシングの東京五輪アジア・オセアニア予選が中止された。新型肺炎による影響が、中国内外で拡大している。

 北京での会見で、同委の李斌(り・ひん)副主任は「すでに人から人、医療従事者への感染が出ている」と明言。主な感染経路として「呼吸器感染」を挙げ、「ウイルスは変異する可能性があり、さらに拡散するリスクがある」と指摘した。

 帰省や旅行で人の移動が激増する春節(旧正月)の大型連休(24~30日)が迫っている。会見では「客観的に疾病が伝染するリスクと予防管理の難度は増大する」と警戒感も示された。駅や空港など多くの人が集まる場所で、消毒や体温測定などを行うという。

 発症者全体の9割超が確認されている武漢市の当局は22日、市民向けに「差し迫った事情がなければ武漢を離れないように」などと求めた通知を行った。同市では大型連休を控え、厳戒態勢が敷かれている。

 ただ、感染はすでに各地に拡散している。米疫病予防管理センター(CDC)は21日、西部ワシントン州シアトル近郊に住む男性が新型コロナウイルスに感染したと発表。米メディアによると、男性は30代で武漢を旅行していた。現在は同州の医療機関で隔離されて治療を受けており、状態は安定しているという。

 マカオ政府も22日、武漢から来た女性観光客(52)の発症が確認されたと発表。女性はカジノ施設で大半の時間を過ごしたといい、感染の拡大が懸念されている。これまでに日本、タイ、韓国、台湾でも発症者が報告されている。



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