(4)脱毛告白「美は善行を生む」 引きこもり、環境問題でも持論
《休憩を挟んで植松聖(さとし)被告に対する被告人質問が再開される。裁判員が入廷する前は、午前と同じように6人の刑務官が立ったままで座っている植松被告を囲み、目を光らせた。裁判員らが入廷すると、植松被告は証言台の前に進み、質問が再開された》
弁護人「午前中はあなたの考えを聞いてきました。これからは今回の件で行動しようと思った理由を聞いていきます。どうしてあなたがやる必要があったんですか」
植松被告「自分が気付いたからです」
弁護人「ほかの人ではなく、あなたがやらなければいけない理由は」
植松被告「(そのことに)気が付いたからです」
《弁護人から再三動機について質問をされるが、植松被告は「自分が殺さなければいけないと気付いた」と一貫して主張した》
弁護人「いつ気が付きましたか」
植松被告「措置入院中です」
弁護人「入院前は考えていなかった?」
植松被告「自分の独断でやろうとは考えていませんでした」
弁護人「あなたは何かほしいものがありましたか」
植松被告「お金です」
弁護人「お金を得るためには何をすればいいですか」
植松被告「人の役に立つか、人を殺すかです」
《植松被告はまたも独自の論理を展開し始める》
弁護人「殺すとはどういう意味ですか」
植松被告「詐欺をしたり、覚醒剤を売ったり、安い賃金で働かせたりすることです」
弁護人「犯罪をするということ?」
植松被告「そうです」
弁護人「安い賃金で働かせるというのはどういう意味ですか」
植松被告「正当な報酬ではないということ。搾取するということです」
《一度答えた後、弁護人の再質問を遮るように性急に言葉を重ねる植松被告。自分の主張を少しでも分かってもらおうと必死な様子だ。答えを終えた後は、弁護人も次の質問を考えるように少し黙った。植松被告は次の質問が待ちきれないように弁護人をじっと見つめた》
弁護人「お金が欲しい、だから殺したと」
植松被告「役に立つということだと思いました」
弁護人「あなたのしたことは、あなたの考えでは人を殺すことではなく、役に立つというカテゴリーということですか」
植松被告「その通りです」