政府や千葉県などは29日、東京五輪・パラリンピックの競技会場となる幕張メッセ(千葉市美浜区)とその周辺で、大規模なテロを想定した国民保護訓練を実施した。同県内の訓練では初めて、多数の負傷者を一度、近隣の救急救命センターに搬送してから症状によって別の病院に振り分ける「搬送調整」を行った。
訓練は、五輪・パラのテストイベントを開催中の幕張メッセで国際テロ組織が仕掛けた爆発物が爆発し、100人以上の負傷者が出たという想定で行われた。
現場に駆け付けた県警が有毒物質の有無を確認してから負傷者を施設の外に救出。屋外で消防などが負傷者のトリアージと止血をした後、重傷者から県救急医療センターと千葉大学医学部付属病院に搬送した。
両病院で再びトリアージを行い、治療を急ぐ負傷者は院内で手術する一方、時間の余裕がある負傷者は、海上保安庁や自衛隊のヘリコプターで別の病院に搬送する「搬送調整」をした。
発生2時間後には政府が「緊急対処事態」に認定。テロ組織のさらなる攻撃に備え、現場近くに残っていた軽傷者を乗せたバスは、陸上自衛隊の装甲車に護衛されて遠方の病院に向かった。