【葛城奈海の直球&曲球】「拉致未遂」被害者の訴え 


 昭和54年5月5日午後8時頃、後に妻となる女性とともに能登半島の和倉温泉へと車を走らせていたA氏は、国道160号の氷見・七尾の間あたりで、白いスカイラインにつけられていることに気づいた。

 不審に思い、道路脇に停車すると、同車に乗った男4人が、A氏らをじろりと見ながら通り過ぎていった。

 しばらくして発進すると、ほどなく、同車が道をふさぐように横向きに止まっていた。やむなく停車したところ、運転席から降りてきた小柄な男が、窓越しに早口の外国語で何かしゃべった。聞き取れないので窓を12~13センチほど開けたところ、そこから鋭いパンチがA氏の顔面を強打。一発で鼻の骨が折れ、血が飛び散った。男は、そのままA氏の胸ぐらをつかみ、もう片方の手で運転席のドアを開けようとしたが、ロックされていて開かなかった。

 喉をつかまれ、命の危機を感じたA氏は、車を急発進させ、路肩に乗り上げながら、スカイラインの横をすり抜けた。

 街灯のない海岸沿いの道でカーチェイスが始まった。徐々に距離が開き、後ろのライトが見えなくなったところで、建設会社の倉庫を見つけて滑りこんだ。ライトを消し、シートを倒して息を殺していると、ミラー越しに猛スピードで通り過ぎていく車が見えた。

 A氏がたどり着いた宿からの通報を受け、たくさんの地元の人たちが集まってきて、徹底的に地域を捜索したが、スカイラインは見つからなかった…。

 事件の背景は分からない。だが、A氏が何者かにつけ狙われ、拉致されようとしていた可能性は大いにある。

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