【ロンドン=板東和正】欧州連合(EU)の欧州議会は29日、本会議で英国の離脱条件を定めた協定案を賛成多数で可決した。英側はすでに離脱に必要な離脱関連法が成立しており、31日の離脱に向けた英・EU双方の主な手続きが終わった。EUから加盟国が脱退するのは初めてで、欧州は大きな転機を迎える。
欧州議会は賛成621、反対49で離脱協定案を可決した。英国を除く27加盟国が30日に承認し、最終的な離脱手続きが完了する予定。欧州議会は、英国の離脱を受けて同国分の議席の一部を他国に割り当て、議席定数は現在の751から705となる見通しだ。
英国は31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)にEUから離脱し、現状のEUとの経済関係を12月末まで継続する「移行期間」に入る。
ジョンソン英首相は早期の「完全離脱」のため、12月末までにEUとの自由貿易協定(FTA)締結を目指す。そのため離脱関連法には移行期間の延長を禁じる条項を盛り込んだが、EUが過去、FTA交渉に数年かかった例もあり、12月末までの実現は困難視されている。
EU離脱をめぐって英国は、2016年6月の国民投票で離脱の方針を決定。しかし、英政府がEUと合意した離脱協定案が英議会でなかなか承認されず、約3年半にわたって離脱賛成派と反対派による膠着(こうちゃく)状態が続いた。
流れが大きく変わったのは、ジョンソン政権が昨年、離脱を争点にした英下院総選挙を実施したことだ。早期離脱を訴えたジョンソン氏の与党・保守党が過半数を獲得し大勝したことで、英議会が離脱実施に向けた法整備に動き出した。今月23日には、英国のエリザベス女王が、離脱関連法を裁可。新法が成立し、離脱に向けた英議会手続きが終了していた。