政府は1日、新型コロナウイルスによる肺炎を感染症法の「指定感染症」と検疫法上の「検疫感染症」とする政令を施行した。入国申請時から14日以内に中国湖北省に滞在歴がある外国人の入国を拒否する措置も始めた。政府は対策本部を開き、安倍晋三首相は「観光を含めた地域や国の経済、社会全般に大きな影響をもたらしている。まさに緊急事態であり、強い危機感を持って対応してほしい」と閣僚らに指示した。
首相は感染拡大を防ぐための入国拒否に関し「対象者を確実に見極めるよう厳格な運用を図るとともに、各申請者の特別な事情にも十分配慮し、適切な運用に努めてほしい」と語った。今回の措置で感染の有無にかかわらず入国を拒否でき、湖北省発行の中国旅券所持者も入国を原則禁じる。日本人には適用しない。
首相は「必要な態勢は躊躇(ちゅうちょ)なく実行するとの方針の下、予備費の使用も視野に入れ、さらなる対応策を早急に策定し、至急、実行に移してほしい」とも述べ、国民の不安に対応するため検査態勢や医療用品の整備なども図るよう指示した。
2つの政令の施行は当初、7日に予定していたが、世界保健機関(WHO)の緊急事態宣言などを受けて前倒しした。
新型肺炎の感染が確認されれば、感染症法に基づき設備や受け入れ態勢が整った感染症指定医療機関に入院するよう勧告できる。従わなければ強制的に入院させられる。ただ、症状がない感染者は「患者」に当たらないため入院勧告はできず、要請にとどまる。
空港や港の検疫でも、感染が疑われる人が見つかれば検査や診察を指示できる。従わない場合は罰則もある。内閣官房は経過観察のため宿泊施設に入っている帰国者の滞在先の一部変更を発表した。個室の確保などが目的としている。