防衛省が陸上自衛隊の離島奪還部隊「水陸機動団」について、北海道の陸自駐屯地への新設を検討していることが分かった。長崎県佐世保市の相浦駐屯地に次ぐ2カ所目の配置となる。規模は600人程度で令和5年度末までに立ち上げる方針。「日本版海兵隊」と言われる精鋭部隊を増強し、中国公船の領海侵入が続く尖閣諸島(沖縄県石垣市)など南西諸島の防衛強化を図る。
夏までに配置先を選定し、令和3年度予算案に新設経費を計上する方向で調整している。南西諸島有事での即応性を重視し、沖縄本島へ新設する案もあるが、訓練環境が整い、地元の理解も得やすい北海道が有力になっている。
水陸機動団は、相浦駐屯地(2個連隊)のほか、3個目の連隊を相浦以外に作る計画が決まっている。北海道は即応性は不十分だが、浜大樹訓練場(大樹町)など海に面した訓練場があり、訓練実績も多い。自衛隊関係者は「周辺国への抑止効果のためにも訓練を重ねて能力を高めることが不可欠」と語る。
沖縄本島については、多くの米軍基地や軍事訓練を抱える地元から政府への反発があり、部隊新設の調整が進むのか不透明だ。
■水陸機動団 水陸両用作戦を担う陸上自衛隊の部隊。日本の離島が侵攻された場合、水陸両用車やボートなどで上陸し、敵の上陸部隊を奇襲して島を奪還する。米海兵隊を手本に、平成29年度末に相浦駐屯地に発足。2個の連隊のほか、後方支援、通信、偵察など2100人態勢を組む。米国などで米海兵隊との共同訓練も実施している。