イランメディアは、同国国会が世界の原油輸送の要衝であり、日本の原油輸入の約9割が通過するホルムズ海峡の封鎖を承認したと報じました。核施設攻撃への対応とされるこの動きですが、実際の封鎖には最終決定が必要で、現時点での実施可能性は不明です。日本の原油供給を含む世界経済への潜在的影響が懸念されています。
報じられた承認と実施への条件
22日、イランメディアは安全保障・外交政策委員会所属議員の話として、国会がホルムズ海峡封鎖を承認したと伝えました。これは、アメリカ軍による核施設攻撃への対応策の一環とされています。しかし、実際に封鎖を実行に移すには、大統領が議長を務める最高安全保障委員会の最終的な決定が不可欠となります。イランでは国の重要政策は最高指導者であるハメネイ師の判断に大きく左右されるため、現時点では実施が現実のものとなるかは極めて不透明です。これに先立ち、イランのアラグチ外相も核施設への攻撃に対する対応に「様々な選択肢がある」と述べ、ホルムズ海峡の封鎖の可能性を完全に排除しない姿勢を示していました。
ホルムズ海峡の地図と主要な原油輸送ルート
日本と世界のエネルギー供給への影響
ホルムズ海峡は、中東の主要な産油国から世界へと原油を輸送する上で、極めて重要なチョークポイント(海の要衝)であり、世界の海上原油取引量の約3割がここを通過しています。特に日本は、輸入する原油の約9割をこの海峡経由で輸送しており、そのエネルギー安全保障にとって生命線とも言えます。万一、この海峡が封鎖されれば、日本のエネルギー供給網は深刻な打撃を受け、石油価格の急騰を引き起こすなど、世界経済全体に広範かつ甚大な影響が及ぶ恐れがあります。国際社会はイランの今後の動向を固唾をのんで見守っています。
日本の原油輸入ルートとホルムズ海峡
米国の見解と警告
一方、アメリカはイランのホルムズ海峡封鎖の可能性に対し、強い懸念と警告を発しています。アメリカのバンス副大統領は、イランがホルムズ海峡を封鎖した場合、自国からの石油輸出も不可能になり、イラン経済に壊滅的な影響を与えると指摘しました。副大統領はこれを「イランにとって自殺行為だ」と強く非難しています。さらに副大統領は22日のNBCテレビの番組で、ホルムズ海峡の封鎖は「意味があるとは思えない」と述べ、むしろ「意味があるのは交渉のテーブルにつくことだ」と強調し、イランに外交的な解決を強く求めました。
まとめ
イランメディアが報じた国会によるホルムズ海峡封鎖の承認は、アメリカ軍による核施設攻撃への対応として注目されます。しかし、実際の実施には最高安全保障委員会の最終決定と最高指導者の判断が必要であり、現時点での実行可能性は不確実性が残ります。日本の原油供給を含む世界経済への影響は甚大であるため、国際社会は今後のイランの動向を注視しています。米国は封鎖を「自殺行為」とみなし、交渉による解決を促しており、外交努力の行方が注目されます。
ソース: https://news.yahoo.co.jp/articles/e791cb85a738f9299384a66376864dd957de6d4e