平成29年2月に国有地売却の大幅値引きに端を発した森友学園をめぐる一連の問題が発覚して3年。19日には、詐欺罪などに問われた学校法人「森友学園」前理事長の籠池(かごいけ)泰典被告(67)と妻の諄子(じゅんこ)被告(63)に対する大阪地裁での判決公判が控える。両被告が同年4月の開校を目指した小学校は、建物の所有権を主張する建設会社と土地を所有する国との間でにらみ合いが続き、跡地問題は宙に浮いたままだ。
■維持に年1千万円
閑静な住宅街が広がる大阪府豊中市の一角。周囲とは不釣り合いな、朱色の派手な外観の建物が目を引く。森友学園が設立を目指した「瑞穂の国記念小学院」だ。
「建ったときはびっくりする色だったし、なんやこれって感じだった」。近くに住む女性(50)はこう振り返る。
3年前はメディアが詰めかけ、連日「籠池劇場」が繰り広げられたが、今は工事用フェンスに囲まれ人気はない。サッカーグラウンド約1・2個分の約8770平方メートルの土地には、鉄骨一部3階建ての校舎や体育館、運動場が併設され、運動場には大量の土砂が積まれたままだ。
現在は建設した同府吹田市の藤原工業が管理し、日中は社員1人が常駐する。水道光熱費など年1千万円以上の経費がかかるといい、同社の藤原浩一社長(57)は「負担は少なくない」とこぼす。