【シンガポール=森浩】世界気象機関(WMO)は15日までに、地球温暖化の影響が懸念される南極で、過去最高となる気温18・3度が観測されたと発表した。WMOはデータを解析し、高気温が発生した原因などを詳しく精査する方針。
WMOによると、この気温は6日に南極大陸西部「南極半島」にあるアルゼンチンのエスペランサ観測基地で観測された。WMOは暖かい風が山から吹き下りて気温が上昇するフェーン現象が起きた可能性を指摘している。これまでに南極の最高気温は2015年3月24日の17・5度だった。
長期的な気候変動が影響しているかは不明で、WMOは「アルゼンチン側からの完全なデータ提供を待って、情報を精査する」とコメントした。
また、英紙ガーディアンなどは、南極半島北端沖のシーモア島にある研究施設で9日、20・7度を記録したと報じた。WMOはこちらについても今後、データを取り寄せて精査するとしている。
南極大陸から南米に向かって延びる南極半島は、地球上で最も急速に温暖化が進む地域の1つとされ、過去50年で気温が約3度上昇している。