参院自民党の構図に異変が起きている。参院の人事や意思決定を主導してきた細田派(清和政策研究会)、竹下派(平成研究会)、岸田派(宏池会)の主要3派に加え、麻生派(志公会)の存在感が増してきたことが背景にある。主要ポストに所属議員を送り込み、着々と地歩を固めようとする麻生派に一部から警戒する声も上がる。
「通常国会を始めるにあたり、いろいろな課題が噴出してきた。国民への説明責任を果たし、重要法案、予算審議を着実に進めなければならない」
1月20日の通常国会召集日に都内で開かれた参院の麻生派議員でつくる「上公会」の会合で、会長の武見敬三氏はこう呼びかけた。
参院自民は衆院と一線を画し、主要3派が合議で運営する体制が定着、時の首相も配慮してきた。実力者だった竹下派の吉田博美氏(故人)の参院幹事長時代は世耕弘成(ひろしげ)(細田派)、林芳正(岸田派)両氏と3人で定期的に会食を重ね、参院の運営を相談してきた。
しかし、吉田氏が引退した昨年7月の参院選で岸田派が議席を減らし、主要3派ではない麻生派と所属議員数が13人と並んだ。麻生派は山東昭子氏が議長に選出され、派閥を離脱したため、所属人数を減らしたが、参院内での影響力を着実に拡大している。