【モスクワ=小野田雄一】シリア北西部イドリブ県でアサド政権軍とトルコ軍の戦闘が続く中、政権側の後ろ盾であるロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が5日、モスクワで首脳会談を行った。停戦で合意できるかが焦点だ。
冒頭、プーチン氏は「状況は私たちの対話を必要とするほど緊張している」と指摘。エルドアン氏も「会談での決定が状況を緩和するだろう」と応じた。
ただ、双方の隔たりは大きい。アサド政権とロシアは、トルコがイドリブの反体制派武装勢力の武装解除を約束通り進めず、難民流入の防止を名目に実効支配を進めていると批判してきた。
ロシアはシリア内戦の過程で同国内に新たな軍事基地を得ており、アサド政権の意向に反するようなトルコの提案を受け入れるのは困難とみられる。
一方、トルコは対米関係がぎくしゃくしている上、国内のシリア難民らの越境を認めたことで欧州からも批判が出ている。エルドアン氏は国内の求心力回復のためにも、イドリブ周辺に影響力を残す形でロシアと停戦に持ち込みたい考えとみられる。