「麒麟(きりん)がくる」の放送開始から約2カ月。最近の放送回では、史実に沿ったストーリーに登場人物の感情を織り交ぜた娯楽性も加わり、視聴率もおおむね好調だ。
主人公の明智光秀をはじめとする戦国の英傑たちが、まだ何者でもない地方の武士だった姿が描かれる中、存在感を放っているのが美濃の守護代で光秀の主君、斎藤道三(どうさん)(利政)を演じる本木雅弘(54)だ。「道三は、生きるか死ぬかの極限状態と向き合う覚悟を持った人物だったととらえています。野心から垣間見える喜怒哀楽、みずみずしい生きざまも大切に演じたい」と役作りへの意気込みを語る。
一介の油売りだった亡き父とともに、親子二代で美濃の国盗りを目指した戦国下克上の代名詞的存在。配役が決まると、近しい人たちからは驚きの声が上がったという。
「道三は、親さえ襲う梟(ふくろう)だとか、母の腹を食いちぎって生まれる蝮(まむし)だとか、すごいイメージで語られますよね。僕はもっと薄味に生きていますから」
1月26日放送の第2話では、織田信秀(高橋克典)と取引して「加納口の戦い」を起こした娘婿を容赦なく毒殺し、視聴者を戦慄させた。「あくが強い役なので、毎回奮い立たせるのに必死です」と苦笑する。
一方で、光秀を演じる長谷川博己(43)とのやりとりは、くすりと笑ってしまう描写も多い。道三の無理難題にしぶしぶ応える光秀について「長谷川君の、主張は激しくないけれど、自信を内に秘めた部分が役に通じているのでは。やり取りを通じて、智将・光秀の基礎、それを見いだす道三の先見性を表現したいですね」と話した。