自民党の望月義夫元環境相の死去に伴う衆院静岡4区補欠選挙(4月14日告示、26日投開票)で、主要野党は17日、無所属での立候補を表明した元東京都議の新人、田中健氏を野党統一候補として擁立することを決めた。自民党は元静岡県議を擁立しており、与野党対決となる。告示まで1カ月を切る中、ようやく一本化にこぎつけた野党だが共闘の足元はおぼつかない。
立憲民主、国民民主、共産などの主要野党の幹事長・書記局長らは17日、国会内で「原発ゼロ実現を目指す」などとする確認文書に署名し、田中氏への一本化に合意した。
立民の福山哲郎幹事長は共同記者会見で、「野党共闘のモデルケースになってくる。総選挙に向けて大きな一歩だ」と述べ、次期衆院選の前哨戦とされる補選で、共産党を含む野党が統一候補を擁立する意義を強調した。
共産党は元衆院議員を公認候補として擁立していたが、文書に「(中部電力)浜岡原発再稼働を認めず」という文言が明記されたとして取り下げた。田中氏は「これからは、私一人の戦いではない。必ず結果を出したい」と意気込む。
ただ、野党の結束はガラス細工のようにみえる。立民は、新型コロナウイルスの感染拡大などで内閣支持率が下落したことを受け、「政権批判の受け皿になり得る」(党幹部)とぎりぎりまで独自候補擁立を模索していた。昨年7月の参院選静岡選挙区では、国民現職と立民新人が激しく争ったばかりで、両党の感情的なしこりも消えていない。
以前から田中氏支援を決断するよう立民に求めてきた国民からは「プロレスで言えば立民のギブアップだ」(幹部)と強気な声も上がり、一枚岩で戦う態勢は整っていない。(千田恒弥)