【北京=三塚聖平】肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた支援として、中国の映画関係者が日本に医療用品を寄贈した。中国で感染拡大が深刻だった時期に日本から多くの支援があったことに対する「返礼」の意味があると強調している。
寄贈は、映画のマーケティングを手掛ける「北京麦特文化発展」の陳砺志・会長兼最高経営責任者(CEO)が映画関係者に呼び掛けて実現した。陳氏によると、趣旨に賛同した映画関連会社や個人が防護服など計2800点を日本に寄贈。寄贈者には、中国のアクション俳優として知られる呉京(ウー・ジン)氏や、映画監督の寧浩氏らなどが名前を連ねている。
日本側では、映像カメラマンらでつくる「日本映画撮影監督協会」が仲介役を務めており、寄贈品の一部は既に東京都内の同協会に到着している。そこから東京大学医学部付属病院(東京都文京区)に届けられる予定だという。
寄贈の取りまとめや日本側とのやり取りなどを行った麦特文化の陳氏は産経新聞の取材に対し、「早い時期に日本人は多くの必要な物資を中国に贈ってくれた。礼を受けたら礼を返さなければならない」と述べた。陳氏は感染状況が最も深刻となった湖北省出身で、防護服を寄贈したのは同省の状況を見て医療関係者を感染リスクから守る必要性を感じたためだと説明している。
日本映画撮影監督協会の浜田毅理事長は「映画でつながった関係がこのように発展して、非常にありがたい」と話している。