【主張】緊急事態宣言 危機感持ち行動変えよう 国民の底力が問われている

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 安倍晋三首相が新型コロナウイルスの国内感染拡大を受け、特別措置法に基づく緊急事態宣言を行った。

 対象は東京、大阪、福岡など7都府県で、そこに住む人々は日本の総人口の4割以上を占める。期間は大型連休最終日の5月6日までとなった。

 日本は狭い国だ。7都府県にとどまらず国全体が危機にあるとみなすべきである。日本で暮らす全ての人々と事業者は冷静さを保ちつつも危機感を共有し、地域の実情に応じた形で新型ウイルスとの戦いを進めるべきだ。国民の底力が問われている。

 ≪丁寧に情報発信重ねよ≫

 首相は記者会見で国民に協力を呼びかけた。宣言の理由について都市部を中心に感染者が急増し、地域で医療提供体制が危機的な状況になっていると説いた。

 日本の感染者・死亡者の数は現在、中国や欧米諸国ほどではないが、ここへきて増加の速度が増している。宣言によって患者の爆発的急増(オーバーシュート)や医療崩壊を防ぎ、事態を収束へ向かわせようという政府の判断は妥当である。

 政府や都道府県は密接に連携し、国民の生命と健康を守るために思い切った対応をとってほしい。国民への丁寧な説明と不断の情報発信も欠かせない。

 対象に愛知県が含まれなかった。愛知の死亡者数は東京都に次ぎ、感染者数は対象となった埼玉、兵庫、福岡の各県よりも多い。感染者数が倍増する速度が遅く、感染経路不明者が比較的少なかったからだという。だが政府は各地の感染状況の推移をにらみ、地域の追加や期間延長をためらってはなるまい。

 政府は感染につながる人と人との接触を極力減らすため、これまで以上に国民の協力を得たいとしている。

 不要不急の外出の自粛やテレワークなど在宅勤務を徹底し、密閉、密集、密接の「3つの密」の空間に身を置かないようにしたい。これまでも各知事が週末や夜間の外出自粛やテレワークを要請し、多くの人や事業者が協力してきたが、なお一層の取り組みが必要ということだ。

 首相は政府の対策本部の会合で今が国家的危機にあると語った。その上で、人と人との接触機会を7~8割減らした場合、「2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と指摘した。

 食料品など生活必需品の買い物や医療機関への通院、ライフラインを生かす人々の通勤、人と接しない形の散歩は認められるが、その他の人と接する外出は極力避けなくてはならない。

 首都圏などから感染が広がっていない県や離島に「疎開」する動きがあり、危惧の声が出ている。医師や病床の絶対数が少ない地方を危険にさらす行動は厳に慎んでほしい。

 ≪「地方疎開」は厳に慎め≫

 1カ月も自宅にこもるには辛抱強さが必要になる。不要不急の外出などの利己的な行動をとってはならない。自分や家族、大切な人々、そして日本を守るため、今は我慢のしどころということだ。

 宣言準備のニュースが流れてから、多くのスーパーでトイレットペーパーなどが売り切れた。十分に生産されており、消費者として冷静な行動が求められる。

 留意しなければならないのは、諸外国とは異なり、特措法に基づく日本の緊急事態宣言は政府や自治体に強制力を伴う権限をほとんど与えないという点である。

 諸外国では感染が広がった都市と外部との交通を遮断したり、外出禁止令で取り締まったり、食料品店以外の店舗、事業所の営業禁止を命令できる。中国や欧米の都市ではそのような措置で都市封鎖(ロックダウン)をとった。

 日本の制度では都市封鎖はできない。宣言で知事に付与される強制力は医薬品や食料の売り渡しや保管、医療施設開設のための土地建物の使用だけだ。知事による不要不急の外出の自粛要請やイベント制限の要請・指示は宣言で法的根拠を持ったが罰則はない。

 それでも宣言は感染症との戦いで政府が現時点で持つ有力なカードだ。強制力をほとんど伴わないゆえに、「伝家の宝刀」を抜いたことになるのか、「竹光(たけみつ)」に終わらせてしまうか。これを決めるのは国民の行動である。

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