新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言が全国の都道府県に拡大される中、19日に告示された茨城県石岡市長選では、立候補した各陣営や市選挙管理委員会が支持者・有権者らの密集を避けるため、さまざまな感染防止策を講じている。「必勝マスク」や「使い捨て鉛筆」といった異例のグッズも登場し、「新型コロナ仕様」の選挙戦が展開されている。(谷島英里子)
■出陣式ならぬ…
3候補者が立候補の届け出を済ませた19日午前。うち2陣営が臨んだのは出陣式ではなく、規模や時間を縮小した「出発式」だった。会場に消毒液をまくなど感染防止に努め、支持者も動員しなかった。
ある陣営は駐車場で出発式を開き、訪れた支持者には間隔をあけるよう呼びかけた。「必勝」と書いたマスクを着用した候補者は、握手代わりに互いの拳を突き合わせる「グータッチ」で有権者の間を回った。選挙期間中、握手は控える予定だという。
別の候補者は選挙期間中の集会は行わないなど、「3密」を防ぐ考え。もう1人の候補者も、街頭などでは有権者と距離を保ち、動画を通じた情報発信に努める考えだ。
■とにかく混雑回避
一方、同市役所1階の期日前投票所では、マスクと手袋を着用した選管職員が投票に訪れた市民に対し、接触感染を防止するため、ビニール製の手袋や使い捨て鉛筆を配布していた。
投票所の受け付けには飛沫(ひまつ)感染を防止するための透明ビニールシートが設置され、3人が使える記載台は投票者が隣り合わないように中央を使用不可とした。出入口には消毒液が置かれ、投票所の混雑に備え、前の人と約2メートル離れて並ぶよう、床に赤いテープを貼り付けていた。
市ホームページ上には、昨年実施された市議選の1時間ごとの投票状況を記した表を掲載。市選管は「期日前投票は投開票日に近づくほど混雑するので早めの投票を」と呼びかけ、選挙戦に向けては「ウイルス感染が拡大する中での選挙戦となったが、可能な限りの対策は取った。ぜひ投票には足を運んでもらいたい」と話している。
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今泉文彦市長の辞職に伴う石岡市長選は26日、投開票される。いずれも無所属の新人で、元県議の谷島洋司氏(57)、元市長公室長の佐々木敏夫氏(62)、無職の藤井優雄(まさお)氏(55)の3人が立候補し、舌戦を繰り広げている。
投票は午前7時から午後6時まで市内52カ所で行われ、同7時半から市役所本庁舎で即日開票される。選挙人名簿登録者数は18日現在で6万3409人。