政府は2日、持ち回り閣議を開き、新型コロナウイルス感染症の治療候補薬「レムデシビル」の早期の特例承認について、政令の改正を決定した。加藤勝信厚生労働相は閣議後、記者団に対し、開発した米製薬会社ギリアド・サイエンシズから申請があれば「1週間程度で承認するよう事務方に指示した」と話した。
政府は、米食品医薬品局(FDA)が新型コロナウイルス感染症の治療のためのレムデシビルの緊急使用を許可したことを受け、政令改正を行った。
加藤厚労相は、ギリアド社から近日中に承認の申請があるとの見通しを明らかにした。承認されれば国内で最初の新型コロナ治療薬となる。
レムデシビルをはじめ治療候補薬をめぐっては、欧米など各国で安全性や有効性を調べるための臨床試験(治験)が進められているが、海外での承認、許可を条件に国内審査の手続きを簡略化する「特例承認」という制度がある。
閣議決定に基づき、厚労省は新型コロナの治療薬が米国や英国などで承認、許可された場合に、特例承認の対象とするように、医薬品医療機器法(旧薬事法)の政令を改正した。
エボラ出血熱などの治療薬として開発されたレムデシビルはウイルスの増殖を抑える効果が期待され、米国立衛生研究所(NIH)が4月、臨床試験で患者の回復が15日から11日に早まったと報告していた。重症患者に対して静脈注射で5日間または10日間投与。副作用として肝臓や腎臓の機能の悪化が指摘される。
一方、西村康稔経済再生担当相は2日の読売テレビ番組で、治療薬の有力候補とされる国産の新型インフルエンザ薬「アビガン」について「治験を急いでいる」と語った。現在は特例承認されていないが、患者自身が希望し、病院の倫理委員会で認められるなどすれば使用できる。