李在明大統領、第70回顕忠日追悼辞「平和な国こそ聖なる犠牲への報い」

李在明大統領は6月6日、第70回顕忠日追悼式で追悼の辞を述べた。大統領は「戦争の心配なき平和な国、日常が揺らぐことのない安全な国を作ることこそ、聖なる犠牲と献身に対する最も責任ある回答」だと強調。前政権の尹錫悦大統領が北朝鮮への厳正対処を掲げたのとは異なり、繰り返し「平和」を強調する姿勢を示した。

第70回顕忠日追悼式で追悼の辞を述べる李在明大統領第70回顕忠日追悼式で追悼の辞を述べる李在明大統領

独立・護国・民主を等しく称賛、犠牲者支援を約束

大統領は追悼の辞で、現代韓国の自由、平和、繁栄が犠牲者の上に成り立つとし、奪われた国権を取り戻すために命をささげた独立運動家、祖国を救うために戦場に出た軍の将兵と若者たち、そして独裁に屈せず民主主義のために闘った方々といった報勲の3要素すべてに言及し称賛。護国のみを強調した尹錫悦前大統領と対照的な姿勢を示した。

第70回顕忠日追悼式で黙祷する李在明大統領とキム・ヘギョン女史第70回顕忠日追悼式で黙祷する李在明大統領とキム・ヘギョン女史

また、先月の海軍哨戒機事故や過去の火災現場で殉職した隊員らの名前を挙げ、遺族に哀悼の意を表明した。これらの「特別な犠牲」には「特別な補償」が必要であるとし、国家有功者とその遺族への礼遇・支援強化(参戦有功者配偶者支援、自宅近くで便利な報勲医療システム構築など)を約束した。「独立運動をすれば3代が苦痛、親日をすれば3代が栄華という歪んだ歴史認識は消えるべき」とも訴え、夜を徹して国を守る軍人、災害現場で奮闘する消防士、犯罪現場で駆け回る警察官など現場の職務者への感謝を述べた。

北朝鮮言及ゼロ、「平和」中心のメッセージ

李大統領は追悼辞全体を通じて「平和」の重要性を繰り返し強調した。「戦争の心配なき平和な国」「堅固な平和の上に花咲く国」といった言葉で、非常戒厳後などに揺らいだ日常の平和回復への願いを示唆した。特に、追悼辞中に「北朝鮮」への直接言及が一度もなかった点が注目される。これは、過去3年間、北朝鮮への厳正対処や力による平和を繰り返し主張し、「暗黒の地」と表現した尹錫悦前大統領のメッセージとは明確に異なる。李大統領は、過去の強硬路線から対話と安定への焦点を移したことを強く打ち出した。

今回の李在明大統領の顕忠日追悼辞は、過去政権と異なり、独立、護国、民主という幅広い犠牲者を称え、平和な国家実現こそが彼らへの最大の報いだと強調。北朝鮮言及を避け「平和」を核としたメッセージは、朝鮮半島の安定と日常の平和回復への強い意思を示唆する。