【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は5日、西部アリゾナ州フェニックスを訪れ、新型コロナウイルス感染の予防のための医療用マスクを生産しているハネウェル・インターナショナル社の工場を視察した。トランプ氏は米国内での感染拡大が深刻化し始めた3月上旬以降、国内の視察や支持者集会を自粛してきたが、自身による経済活動再開の呼びかけに合わせて視察を再開させた。
トランプ氏は、ハネウェル社幹部らとの懇談の場で「国を再び開かなくてはならない」と強調。今年後半に感染が再拡大する恐れが指摘されていることに関しては「国を向こう5年も閉じたままにしておくことはできない」と反論した。
トランプ氏は視察の間、マスクを着用しなかった。トランプ氏や同行のホワイトハウス職員は感染検査で陰性と確認されており、工場側が着用不要と伝えてきたとしている。
トランプ氏は、民主党候補のクリントン元国務長官と対決した2016年の大統領選でアリゾナ州を制したが、今回の大統領選では、民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領が世論調査の支持率で先行している。数週間ぶりの遊説先に同州を選んだのは、支持固めを図る狙いも込められていたとみられる。
トランプ氏は近く激戦州の中西部オハイオ州を訪れるほか、6月13日に東部ニューヨーク州の陸軍士官学校の卒業式に出席する。
一方、トランプ氏は5日、ペンス副大統領が率いる政権の新型コロナ対策チームについて、近く規模を縮小する方向を表明したが、6日になって規模を維持する方針に転換したことを明らかにした。
また、トランプ氏は同日、新型コロナが米国に与えた打撃は「真珠湾攻撃や(01年9月の米中枢同時テロでの)世界貿易センタービルに対する攻撃よりもひどい」と強調した。