昨年10月の台風19号による千曲川の堤防決壊で浸水被害を受けた長野市穂保にある同市の長沼支所が11日、隣接する駐車場に建てられたプレハブの仮設庁舎で業務を再開した。
決壊現場の近くにある平屋の庁舎には大量の水が流れ込み、高さは天井まで達した。パソコンやコピー機などの機材は水に漬かり、長沼支所はこれまで業務を休止していた。
再開を前に支所の内部を見学した長野市の加藤久雄市長は「明るく、住民のよりどころになる。ここから再出発で、大きな一歩だ」と報道陣に語った。農業用倉庫の書類を提出に来た、リンゴ農家の渋沢紀美恵さん(79)は「家のそばで手続きができて便利になる」と笑顔で話した。
仮設庁舎にも住民の交流スペースを設置している。被害を受けた庁舎の清掃は終わったが、市は、元の建物を復旧して使うのか、建て替えが必要なのかを検討している。