映画監督の上田慎一郎(36)が、俳優と顔を合わせずリモートワーク(在宅勤務)で完成させた「カメラを止めるな!リモート大作戦!」が話題だ。劇場映画の公開が相次ぎ延期となる中、在宅勤務で映像作品を作りオンラインで配信すると、いち早く声をあげていた。その思いを上田監督に、オンライン会議システムを通じて聞いた。(聞き手 石井健)
<ミニシアター(小規模映画館)から人気に火がついた上田監督の「カメラを止めるな!」(以下「カメ止め」)は、平成30年の話題作。今回の「リモート大作戦!」は、「カメ止め」の主人公たちが、ネットテレビの番組を在宅勤務で制作しようと奮闘する姿を描いた約28分のコメディー作品。4月13日に制作を発表。5月1日にYouTubeで公開し、視聴回数は35万を超え、「元気が出た」「泣いちゃった」などの感想が寄せられている>
こんなときだから明るい娯楽作品を作って皆さんに届けようと決めたのが4月3日。翌4日には、あらすじなどを書き上げていました。
在宅ではまともな撮影ができないことは分かっていましたが、できるかどうかじゃなくて、やるか、やらないか。オンライン会議システムやスマートフォンで俳優が撮影した映像を組み合わせれば大丈夫だろうと走り出しました。僕自身、3月までは元気がなく、この作品を作ることは自分を救う行為でもありました。
作品の中では、主人公の映像作家が役者たちに在宅で“自撮り”させた動画を編集するのだけど、背景が違うなど、映像がうまくつながらない。実際に役者たちに自撮りしてもらいましたが、求めたのは劇場映画の品質ではなく、自撮りのつたなさも含めた「味」でした。