後半国会ヤマ場迎える 野党、検察庁法改正案で森法相追及





衆院内閣委員会で答弁を行う森雅子法務相=15日午後、国会・衆院第13委員室(春名中撮影)

 検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案をめぐって、野党が武田良太国家公務員制度担当相の不信任決議案を提出し、後半国会はヤマ場を迎えた。野党は、改正案に抗議する声がツイッターなどで広がったことを追い風に、攻勢をかけており、政府・与党は防戦を余儀なくされている。

 「聞こえますか? これが国民の声。ネットだけじゃないんですよ」

 15日の衆院内閣委員会で、国民民主党の後藤祐一氏は森雅子法相に得意げに語った。国会近くで改正案に抗議する声が委員室にも聞こえたためだ。実際は大規模デモなどではなく、何人かが拡声器で反対を叫んでいただけだが、後藤氏はお構いなしに改正案の「問題点」をあげつらった。

 改正案は国家公務員法改正案と一体で審議されており、直接の担当は武田氏だ。だが、野党はあえて森氏にも出席を求めた。検察を担当していることに加え、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を閣議決定した問題に関する答弁では、謝罪に追い込んだ“成功体験”もある。

 質疑で、野党側は「定年延長をどういう場合に認めるか、基準の明確化が必要だ」などと政府の判断で検察幹部の定年を延長できる規定を再三追及した。これに対し、森氏は「新たに定められる人事院規則に準じて定めていく。今すぐに出すことは困難だ」と説明。そのうえで、「勤務延長をするにしても、意に反して辞めさせることはない。検察官の独立性は害さない」と理解を求めた。

 強気の姿勢を見せる野党だが、審議拒否までは踏み切れない事情もある。支持層の自治労などに公務員の定年延長自体に賛成する声があるうえ、政府・与党が今国会で成立を目指す令和2年度第2次補正予算案の審議に影響すれば、新型コロナウイルス対策を遅らせていると世論の反発を招く恐れもある。

 立民国対幹部は「審議時間を確保してくれれば採決に応じる可能性はゼロではない」と与党側の配慮に期待を示す。ただ、与党内からは「既に信頼関係は崩れている」(自民党関係者)と強硬論が出ている。

(大橋拓史、千田恒弥)



Source link