加藤勝信厚生労働相が19日に世界保健機関(WHO)の年次総会で行った演説の全文は以下の通り。
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日本では、早期より積極的疫学調査や社会的距離政策を促進し感染の拡大を抑える取り組みをしてきました。その中で感染の急激な増加の兆しが認められたため、4月7日に緊急事態宣言を発出し、外出の自粛要請等の対策を行いました。
このような対策への国民の協力により、新規感染者数が減少したことを踏まえ、5月14日から徐々に社会的距離政策の緩和を開始したところです。
今後は、出口戦略の着実な実施、検査体制や医療提供体制の充実、治療薬とワクチンの開発・供給が重要と考えています。
2点目に、世界的な新型コロナウイルス感染症対策への貢献について申し上げます。
WHOのSPRP(新型コロナウイルスのための戦略的準備と対応の計画)へ7640万ドルを拠出するとともに、CEPIへ9600万ドル、Gaviへ1億ドルの拠出を決定しました。これらにより、パンデミックのできる限り早い収束や感染蔓延(まんえん)国の人々の生活の改善に貢献できることを望んでいます。
3点目に、WHOへの要望を申し上げます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりパンデミックとなった影響は甚大です。今後このような事態を未然に防止できるよう、WHOの対応、感染源、感染拡大ルート等について公平、独立かつ包括的な検証の必要性を申し上げたいと思います。
また、新型コロナウイルス感染症に対峙し、一人でも多くの命を救うためには、世界中のあらゆる情報・知見を総動員して対処することが重要です。台湾のような公衆衛生上の成果を上げた地域を参考にすべきという指摘もあります。
さらに、公衆衛生上の責務を担う立場から申し上げれば、感染症対策を始めとする国際保健課題への対応において、特定の地域が取り残されることによる地理的空白を生じさせないことが、各国における、そして、世界全体の感染拡大防止という目的にかなうものです。
日本政府は、今後とも、各加盟国、関係の地域や機関と連携しつつ、事態の収束に向け全力で取り組んでいきます。
加藤厚労相、WHO総会で台湾に言及 コロナ対策「参考にすべき」