岸田氏、失地回復へ正念場 2次補正で自民議論大詰め 家賃、学生支援など柱



自民党・岸田文雄政調会長=18日午後、国会内(春名中撮影)
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う令和2年度第2次補正予算の編成に向けた自民党の議論が大詰めを迎えている。安倍晋三首相とともに主導した減収世帯への30万円給付案を与党内の反発で一律10万円給付にひっくり返された岸田文雄政調会長は、事業者への家賃支援や雇用調整助成金の増額を打ち出し、2次補正で失地回復を狙う。20日に党内議論をまとめ、政府に提言する方針だ。

 「国民の生活を守り、雇用を守り、事業を守る。経済の正常化に向けて道筋をつくるためにしっかりとした提言を取りまとめたい」

 岸田氏は19日の党会合でこう述べ、2次補正への強い意欲を示した。首相が正式に2次補正の編成を指示した14日に先立つ11日、岸田氏は「学生支援」「雇用調整助成金の拡充」「資本性資金の供給」「マイナンバーの活用」の4つのプロジェクトチーム(PT)を新設した。設置済みだった「家賃支援」と合わせた5つのPTで、柱となる重要課題について議論を開始した。

 目玉は、家賃の支払いが困難になった中小・小規模事業者などへの支援策だ。岸田氏は独自に無利子・無担保融資と給付を組み合わせ「ハイブリッド案」を打ち出した。上限を設けた上で家賃の3分の2を給付する。さらに公明党の主張を踏まえ、不動産のオーナーらに独自の家賃支援を行う地方自治体への財政支援が盛り込まれた与党案を8日にまとめた。


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 企業に休業手当を支援する雇用調整助成金は、1人1日当たりの上限額を8330円から1万5千円に引き上げるよう政府に求めた。

 岸田氏の要求に応じ、首相も14日の記者会見で「家賃負担を軽減するための給付金も新たに創設する」と明言。雇用調整助成金についても「世界で最も手厚いレベルの1日1万5千円まで特例的に引き上げる」との考えを示した。

 1次補正をめぐっては、「30万円給付」が撤回され傷ついた岸田氏。しかし、今回は与野党第1党の政調会長同士の協議など野党との調整も担う。閣僚経験者は「首相とも意思疎通を図っているはず。ここでうまくまとめられなければ厳しい」と話す。

 世論の強い反発を受け政府・与党は、検察官の定年を延長する検察庁法改正案の今国会での成立を見送った。新型コロナ対策にも国民の厳しい視線が注がれており、政策責任者としての岸田氏の手腕が問われている。(長嶋雅子)



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