東京高検の黒川弘務検事長が賭けマージャンをした責任をとり辞職したことを受け、主要野党は22日、再調査や厳しい処分とともに、黒川氏の定年延長を閣議請議(提案)した森雅子法相に辞任を求めた。最近の新型コロナウイルス対応での協調路線は一旦棚上げし、ここぞとばかりに政府を攻め立てている。
「『余人をもって替えがたい』と大臣は何度もいった。その大臣が、黒川さんが辞めたからといって他の人が探せるのか」
22日の衆院法務委員会で、立憲民主党の逢坂誠二氏は、政府が検察の業務遂行上の必要性を理由に黒川氏の定年延長を決めた経緯を蒸し返し、森氏に辞任を迫った。森氏は「(定年延長を)閣議請議をしたのは私で、責任を痛感している」と苦しい答弁を余儀なくされた。
当の森氏も21日夕、官邸で安倍晋三首相と面会した際、「責任は取らなければならない」と、長い巻紙にしたためた自身の進退伺を差し出している。
政府関係者によると、東京高検は週刊文春から黒川氏の賭けマージャン疑惑に関する質問状が届いても、ただちに内容を法務省に知らせなかった。「黒川氏の訓告処分も稲田伸夫検事総長が事実上決めたもの。森氏にはじくじたる思いがあった」というが、首相は森氏を慰留した。
野党は、22日の首相出席の衆院厚生労働委でも批判を強めた。野党統一会派の小川淳也氏は「退職金が6千万円とも7千万円ともいわれるが、国民感情に照らして適切だと思えない」と、厳しい処分を求めた。
野党は首相が出席する予算委員会の集中審議を開くよう与党に求めている。
一方で、前のめりな批判が空回りする場面もみられる。共産党の宮本徹氏は厚労委で、検察OBが検察庁法改正案に反対する意見書で、首相の対応についてフランスのルイ14世の「朕は国家」という言葉をほうふつとさせるなと批判したことを持ち出した。
だが、首相は「私は民主的な選挙を経て選ばれた国会議員によって選出された」と反論。「共産党はどのように党首を決めるか承知していないが」と切り返した。