緊急事態全面解除 首相「流行ほぼ収束」 5都道県、7週間ぶり





新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言の全面解除を表明する安倍晋三首相=25日午後、首相官邸(春名中撮影)

 政府は25日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言について、北海道と東京、埼玉、千葉、神奈川の5都道県で終了し、全都道府県で解除した。宣言は4月7日の7都府県に対する最初の発令後、約7週間ぶりに全面的に解除された。今後、一定の移行期間を設け、社会経済活動の段階的な再開を容認する。

 安倍晋三首相は25日の記者会見で「わずか1カ月半で、今回の流行をほぼ収束させることができた。まさに日本モデルの力を示した」と強調した。27日に閣議決定する令和2年度第2次補正予算案の事業規模が1次補正予算と合わせ200兆円超になると説明し、「空前絶後の規模、世界最大の対策で100年に1度の危機から日本経済を守り抜く」と訴えた。

 政府は対策本部会合で、5都道県で新規感染者数が低く抑えられていることなどを総合的に考慮し、31日の期限を前に宣言の解除を決定した。基本的対処方針を改定し、社会経済活動の段階的な引き上げに向けた指針も示した。

 首相は、追加の経済対策として自治体向けの地方創生臨時交付金を2兆円増額する考えを表明。店舗の家賃負担軽減のため最大600万円の給付金を新設すると述べた。感染者と濃厚接触した可能性を知らせるスマートフォン向けアプリを6月中旬をめどに導入する考えも示した。約3週間ごとに感染状況を評価し「最悪の場合は2度目の緊急事態宣言発出の可能性もある」と語り、感染予防対策の継続を強く呼びかけた。

 また、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が来月米国で開催される場合は出席する意向を示し、治療薬やワクチンを途上国も使えるようにしていく「特許権プール」の創設を提案する考えを明らかにした。

 専門家らによる基本的対処方針等諮問委員会は対策本部会合前に解除を了承したが、解除後も北海道、東京、神奈川で感染状況の調査・分析を十分に行うよう政府に求めた。西村康稔経済再生担当相は参院議院運営委員会で、2月1日以降に延期や中止になったコンサート、演劇などを改めて開催する場合、費用の2分の1について5千万円を上限に支援する考えを示した。



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