著作権者の許可なく、インターネット上に漫画などの著作物を掲載した「海賊版サイト」からのダウンロードを違法化する改正著作権法案が5日、参院本会議で全会一致で可決され、成立した。当初は昨年の改正を目指していたが、ネットでの情報収集を萎縮させるとの懸念があって見送られた。このため、今回の案では軽微な事例を規制対象外にするなど、ユーザーに配慮する措置が取られた。
改正法では、これまで映像と音楽に限定していたダウンロード規制を、著作物全般に拡大。無断で掲載されたと知りながら、ダウンロードをする行為を違法とするほか、海賊版に利用者を誘導する「リーチサイト」の運営についても規制する。
文化庁は昨年に法案を提出しようとしたが、ネット利用者から不安の声が続出。スマートフォンなどで閲覧したネット画面を保存する「スクリーンショット」(スクショ)に違法画像が付随的に入り込んだケースも違法となる恐れもあり、海賊版サイトの被害当事者である漫画界からも「創作の萎縮を招く懸念が大きい」との反対もあって見送られた。
このため、今回の改正案では、規制の対象外となる軽微な事例として、スクショへの付随的な写り込みや、数十ページの漫画の1コマ~数コマのダウンロードなどを提示。さらに、二次創作やパロディー、「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」も違法対象から外した。
改正法は令和3年1月1日に施行。リーチサイトの規制については今年10月1日からとなる。