全米デモで国防長官、トランプ氏の「米軍投入」発言に否定的見解 「言論の自由抑圧」の印象を警戒か





エスパー米国防長官=4月、ワシントン(AP)

 【ワシントン=黒瀬悦成】米中西部ミネソタ州で起きた白人警官による黒人暴行死事件を受けて全米に抗議デモと暴動が拡大した問題で、トランプ大統領が暴動鎮圧のため米軍部隊を投入する意向を表明したのに対し、エスパー国防長官が否定的な見解を示したことが注目を集めている。米軍が国内の騒乱に対応するのは例外的な措置だ。エスパー氏の慎重姿勢は、軍が憲法で保障された言論・集会の自由の抑圧に動員されたとの印象を持たれることを警戒する米軍の立場を反映した可能性が高い。

 トランプ大統領は1日、暴動が深刻化している州の知事や大都市の市長が州兵の動員に否定的なのであれば、米軍部隊を現地に派遣する用意があると述べ、知事らに対して暴徒に厳然と対処するよう要求した。

 これに対しエスパー氏は3日、国防総省で記者会見し「治安維持のための軍投入は最終手段だが、今は最終手段をとる段階にない」との考えを表明した。

 米国内での暴動や自然災害に関しては、各州の州知事の指揮下にある州兵部隊が知事の判断または連邦政府の要請で出動する。

 これに対し米軍は国内の暴動鎮圧を任務とせず、そのための訓練も受けていない。ただ、大統領が1807年に制定された反乱法に基づき米軍の出動を命じることはできる。過去には1992年のロサンゼルス暴動の際、当時の父ブッシュ大統領が同法を発動した。

 トランプ氏の「米軍投入」発言は、暴動が深刻化した場合は圧倒的な法執行体制で制圧する意思を示すと同時に、暴徒に手を焼く州の知事らに州兵を使って治安を維持するよう迫る意図があったとみられる。

 エスパー氏自身も1日、州知事らとの電話会議で暴徒による破壊や略奪が横行する市街地を「戦闘空間」に見立て、州兵動員による制圧を促していた。

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