拉致解決へ険しい道、さらに…被害者家族高齢化、コロナ追い打ち





平成25年4月、安倍首相(右)に延べ1千万人分を超えた署名の目録を手渡す横田滋さん=東京・日比谷公会堂

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父、横田滋さんの悲報は、拉致問題の解決が遅々として進まない現実をまざまざと示した。安倍晋三首相と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談は一向に実現の見通しが立たない上、拉致問題で日本に協力する米国と北朝鮮との協議も再開の兆しがない。新型コロナウイルスの感染拡大も相まって、事態進展のための条件は一層厳しくなっている。

■目に涙も…見通したたぬ首脳会談

 「断腸の思いであり、本当に申し訳ない思いだ」

 首相は5日夜、滋さんの死去を受け、東京都内の私邸前で目に涙を浮かべながら記者団に語った。拉致問題を「政権の最重要課題」と位置づける首相は「ご家族の皆さまが、この日本の地でご家族を抱きしめる日がやってくるまで私の使命は終わらない」と訴えてきた。

 首相が昨年5月の産経新聞のインタビューで、無条件で金氏との直接会談を目指す意向を表明した背景には、平成14年に拉致被害者5人が帰国して以降、目立った進展がないまま被害者家族の高齢化が進んだことへの懸念もあったはずだ。

 「待つのではなく、いろいろやっている。チャンスはいつ来るかわからない」

 官邸幹部は政府の水面下での取り組みをこう語る。だが、日朝首脳会談は、首相が意欲を示してから開催の気配もないまま1年以上が経過し、2月には拉致被害者、有本恵子さんの母、嘉代子さんが亡くなった。

■トランプ米大統領に期待も…

 政府は、拉致被害者家族とも面会し、全面協力を約束するトランプ米大統領による金氏への働きかけにも期待を寄せてきた。

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