7日の沖縄県議選は、与野党ともに新型コロナウイルスの影響で活動に大きな制約を受ける異例の選挙戦となった。
「県政奪還」を掲げて臨んだ自民党は、告示後に下村博文選対委員長が現地に入り、当落線上の候補の応援する予定だったが断念。電話での協力要請やビデオメッセージなどの側面支援に徹した。
また、選挙期間中は「3密」(密閉、密集、密接)を回避するため屋内の集会は自粛を余儀なくされた。選対幹部は「人を動員すれば有権者から批判を受ける。なんともやりにくい選挙だった」と振り返った。
支持母体とする創価学会の組織運動を封じられた公明党は、必勝を期すために当初4人だった公認候補を2人に絞り込んだ。5月23日にオンラインで開催した全国県代表懇談会で挙党態勢で臨む方針を確認。全国3千人といわれる地方議員のネットワークを駆使し、電話などを通じての支援依頼を徹底した。
斉藤鉄夫幹事長は今月5日の記者会見で、自身も沖縄や地元・広島の人脈を通じて支援を呼びかけたことを紹介。「試行錯誤で効果が上がっているのか心配な選挙戦だったが、ここ数日間でやっと浸透してきた」と手応えを見せていた。
立憲民主党や共産党などはインターネットなどを使った「空中戦」で候補者をバックアップした。
「新型コロナウイルス感染症の影響が残る中でさまざまな活動に制約があり、大変厳しい戦いを展開している」
立民の枝野幸男代表は選挙戦終盤、党公認候補に応援のビデオメッセージを寄せた。事前に計画していた現地応援は見送ったが、連日自身のツイッターで候補の街頭演説日程などを掲載する力の入れようだった。
県議会に議席のなかった立民は今回、新人1人を擁立した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する玉城デニー知事を後押しするとともに、党の足場を築く狙いがあった。
現有議席を上回る7人を擁立した共産の志位和夫委員長も動画サイトで「沖縄の進路はもとより日本の民主主義がかかった歴史的な戦いだ」と呼びかけ、党員らに協力を求めた。
衆院解散・総選挙の可能性も取り沙汰される中、野党としては沖縄県議選で圧勝し、弾みをつけたい思惑もある。(広池慶一、田村龍彦)