【ニューヨーク=上塚真由】米中西部ミネソタ州での白人警官による黒人男性暴行死事件を受け、西部ワシントン州シアトルではデモ隊が警察署の周辺を占拠し、「自治区」を設置したと主張している。これについて、トランプ米大統領は民主党のインズリー州知事らを批判し、介入も辞さない姿勢で強硬な対応を迫っている。
シアトルでは、警察とデモ隊がたびたび衝突。警察がデモ隊を抑えるため、催涙スプレーなどを使用したことで抗議活動が激しくなり、警察は8日、混乱を避けるため、市内の警察署を一時的に閉鎖。警察が撤退すると、デモ隊が一帯を「自治区」と呼び、バリケードを設置するなどして占拠を続けている。
トランプ氏は10日、ツイッターで、「国内のテロリスト」とデモ隊を非難。11日には、インズリー氏らの対応を批判して、「町を今すぐ取り返せ。おまえがやらないなら俺がやる」と事態の早期収拾を要求し、連邦政府の介入も辞さない構えをみせた。
これに対し、インズリー氏は11日、大きな混乱はなく、平和的な解決策を期待していると表明。ツイッターで「ホワイトハウスからの軍事的脅迫」を許さないとトランプ氏に反発した。
米メディアによると、区域内では、デモ集会などが行われている。数百人が行き来しており、食料や日用品を無料で配るテントが設置されているという。一帯を占拠しているデモ隊は、警察予算を打ち切って社会福祉に回すことや、抗議者に対する刑事処分の取り消しなどを要求している。