河野太郎防衛相は16日の衆院安全保障委員会で、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の停止について「導入を決めた当時としては正しかったが、コストと期間を考えると合理的な判断とはいえない」と説明した。その上で、計画停止に伴い、国防態勢の整備計画を見直す考えに言及した。
河野氏は「地元の皆さまにご迷惑をお掛けしてきた。おわびを申し上げなければいけない」と謝罪した。導入に向けて調査や発射装置購入などこれまで経費を費やしており「防衛相として責任を痛切に感じている」と語った。
計画停止により、政府の弾道ミサイル防衛構想は見直しを余儀なくされるが、「(日本周辺の)安全保障環境の厳しさは変わらない。今後どのように国を守っていくかという議論をしっかりやらなければならない」とも述べた。
一方、茂木敏充外相は「今回の決定が米国とのさまざまな協力に影響を与えるとは考えていない」と強調した。
秋田県を地盤とする無所属の寺田学氏は「英断」と評価した。
イージス・アショアは、北朝鮮による弾道ミサイル発射が頻発していた平成29年、政府が導入を決定した。だが、迎撃ミサイル発射後にブースター(推進エンジン)を分離する際、配備予定地の陸上自衛隊むつみ演習場(山口県)の敷地外に落下するおそれが生じ、改良には10年以上の期間と数千億円の費用がかかる公算が大きいことから、河野氏が15日に計画停止を発表した。