立憲民主党と国民民主党がそれぞれ離党と入党を望む国会議員の処遇に頭を抱えている。立民は東京都知事選(5日投開票)で党方針に反した須藤元気参院議員の離党届を受理せず、国民は無所属の山尾志桜里衆院議員の入党をすんなり認めようとしていない。2人の処遇をめぐっては、両党が抱える複雑な党内事情が垣間見える。
「わが党は元日弁連会長で無所属の宇都宮健児氏の当選に向け、全ての党所属議員が全力を挙げることで一致しており、それに反する行動を取れば党規違反になる」。立民の枝野幸男代表は1日の記者会見でこう語り、都知事選でれいわ新選組の山本太郎代表を応援する須藤氏に対し、党規約に基づく処分の検討もにおわせた。
須藤氏は6月17日に山本氏の応援と離党届の提出を表明。これまで福山哲郎幹事長に離党届を3回提出したが、党側は議員会館のポストに返却するなどして受け取っていない。1日には、令和元年参院選の当選同期の若手議員らが須藤氏の事務所を訪ね、慰留した。
枝野氏が「反党行為」と認めながら処分に踏み切れないのは、選挙結果が今後の野党再編に影響を及ぼす可能性もあるからだ。枝野氏は消費税減税に消極的だが、党内の若手らに減税を求める声は根強い。選挙結果次第では、枝野氏への不満が噴出し、減税を旗印とするれいわに主導権を奪われる恐れもあり、枝野氏に近い議員は「慎重に見極めるべきだ」と語る。
一方、山尾氏は6月16日に国民に入党届を提出したが、2週間たった今も棚ざらしのままになっている。
玉木雄一郎代表は発信力のある山尾氏の入党に前向きだが、立民に所属していた経緯などから、地元の愛知選出の議員が反発しているほか、憲法改正議論に積極的な山尾氏の入党を警戒する声もあるためだ。
玉木氏は1日、産経新聞の取材に、来週にも入党手続きを終えるとの見方を示し、「拒否する理由はない」と強調した。国民の参院中堅は「わが党が入党をお断りできるような状況ではない」と自嘲気味に語った。(千田恒弥、豊田真由美)