香港で6月30日に香港国家安全維持法(国安法)が施行された。全6章66条からなる同法は、国家安全を脅かすと判断した行為に厳罰で臨む姿勢を明確にしている。何が犯罪行為として罰せられ、それを取り締まるためにどんな組織が香港で整備されるのか。国安法の要旨を紹介する。(北京 三塚聖平)
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【総則】
中央政府は香港の国家安全に関わる業務に根本的な責任を負う。香港は国家安全を維持する法制上の責任を負い、職責を履行しなければならない。
【香港の職責と機構】
香港は国家安全を維持し、テロ活動を防止する任務を強化しなければならない。学校、社会団体、メディア、インターネットなど国家安全に関係する事柄に対し、香港政府は必要な措置を取り、宣伝、指導、監督、管理を強化する。
香港は国家安全維持委員会を設立する。中央政府の監督と問責を受け、委員会の主席は行政長官が務める。委員会は、香港の国家安全維持に関する情勢を分析・判定し、政策を制定する。その任務は香港の他のいかなる組織や個人の干渉も受けない。国家安全事務顧問を設け、中央政府が指名・派遣する。
【犯罪行為】
(1)国家分裂罪
香港や中国の一部を中国から分離させたり、法的地位を違法に変更したり、外国の統治に属させる行為。
(2)国家政権転覆罪
中国の根本制度を転覆や破壊する行為。
中国や香港の政権・機関を転覆させる行為。
中国や香港の政権・機関の職務執行を深刻に妨害する行為。
香港の政権・機関の施設を攻撃・破壊し、正常な職務執行をさせない行為。
(3)テロ活動罪
人に対する深刻な暴力。
爆発や放火、毒性や放射性、伝染病の病原体があるものを投げる行為。
交通機関や電力設備などを破壊する行為。
水、電気、燃焼ガス、交通、通信、ネットなどの公共サービスへの深刻な妨害・破壊行為。
(4)海外勢力と結託して国家安全に危害を加える罪
中国に戦争を起こしたり、武力や威嚇で、中国の主権や統一、領土の保全に深刻な危害を加える行為。
香港や中央政府の法律や政策を妨害する行為。
香港の選挙に対する操作や破壊。
香港や中国への制裁や封鎖の実施や、その他の敵対行動。
各種の非合法な方法で、中欧政府や香港政府に対する香港住民の憎悪を引き起こさせる行為。