ジャズピアニスト山中千尋 新作はコロナ禍のNY録音





メジャーデビュー15周年のジャズピアノ奏者、山中千尋

 ジャズピアノ奏者、山中千尋の新作アルバム「ローザ」は、生誕250周年のベートーベンの「運命」など幅広い選曲を、ギターを加えた四重奏団によるリラックスした演奏で聴かせる。

 だが、録音は新型コロナウイルス感染が確認されたばかりだった3月頭の米ニューヨークで行われた。

 「スタジオの中でソーシャルディスタンスを心がけたり、小さなボトルのアルコール消毒液を分け合って使ったりしました」

 中国発のウイルスという認識から東洋人に厳しい目が向けられるなど緊張の日々だったが、演奏はくつろぎに満ちている。

 「緊張により普段以上にお互いに優しくなれた。相手のいうことを一回のみ込んでから自分のことを話す。そんな会話のような演奏になりました」

 実はドラム奏者が日程を勘違いし、録音現場に現れないトラブルもあった。ピアノ、ギター、ベースの3人で仕上げたが、参加したいというドラム奏者の意向をくんで後から録音を追加した。「ローザ」は愛犬の名前だが、ドラム演奏は子犬が跳ね回るような愛らしい活力を演奏に加えた。

 ジャズでも、インターネットを介して別々に音を重ねる手法が当たり前のように行われている。コロナの時代、ますます増えるのだろうか。

 「一緒に演奏するという当たり前だったことが、奇跡が重なり合ってできていたのだと痛感しています」

 10月には、録音メンバーで、東京などでのライブを予定している。(石井健)



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