日本固有の領土を守り抜き、取り返すために行動できるかが、政府に問われている。
中国が奪おうとしている尖閣諸島(沖縄県)とロシア、韓国がそれぞれ不法占拠している北方四島(北海道)、竹島(島根県)のことである。
これら各国が不当な行動をとるたびに、日本政府は「遺憾の意」を表明し、「断固抗議」している。
それは当然としても、十分とは到底言えない。領土をめぐる事態が悪化し続けているからだ。
九州豪雨の陰に隠れて注目されなかったが、中国は今、尖閣で攻勢をかけている。7日には、尖閣周辺の領海外側にある接続水域に中国海警局の公船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。公船による尖閣周辺の徘徊(はいかい)は85日連続で過去最長だ。
特に4~5日には、中国公船2隻が尖閣周辺の領海に過去最長の39時間23分も侵入した。2~3日にも30時間17分にわたり領海に侵入し、繰り返し日本漁船に近づいてきたため、海保の巡視船が漁船を守った。
菅義偉官房長官は6日の会見で「極めて深刻に考えている」と述べ、中国に抗議したと説明した。「領土、領海、領空は断固として守る方針のもと、警戒監視に万全を期していく」とも語った。
海保や後詰めに当たる自衛隊の努力は大変なものである。それでも海保や自衛隊の今の態勢は、中国にはつけ込む隙があると映る。だから、尖閣で不当な措置を重ねる「サラミスライス戦術」をやめようとしない。
相手を弱いとみなせば、かさにかかってくるのが中国だ。尖閣の平和を守るには日本が抑止力を充実させる必要がある。安倍晋三首相は尖閣の有人化や海保、自衛隊の増強を決断してもらいたい。
ロシアは今年6月、北方四島周辺を含む海底の地質調査を3カ月間にわたり行うと日本に通告してきた。日本の主権と排他的経済水域(EEZ)への侵害である。日本政府は抗議したが、ロシア側は応じなかった。韓国の海空軍と海洋警察は6月、竹島を「防衛」すると称して合同演習を行った。日本政府は抗議しただけである。
理不尽な行動に対して制裁一つ科さないようでは、いくら抗議しても、無法に振る舞う隣国は何ら痛痒(つうよう)を感じない。日本政府はもっと真剣に取り組むべきだ。