南太平洋のソロモン諸島に属するウラワ島が、さいたま市浦和区に熱視線を送っている。ソロモン諸島政府観光局がツイッターの公式アカウントで「読みが同じ『ウラワ島』があります」「多くの浦和関係の方々にお知らせしたい」と日本語で呼び掛けているのだ。唐突にも思えるラブコールの舞台裏とは-。
ウラワ島は日本の南東約6千キロに位置し、面積は浦和区の約6倍の約66平方キロメートル、人口は約50分の1の約3300人。バナナ栽培や漁業を基幹産業とする島だ。
そもそも、さいたま市とソロモン諸島はこれまで「一切交流がなかった」(市観光国際課)。同諸島政府観光局によると、日本から同諸島を訪れる観光客は年間約370人(平成30年)にとどまっているといい、互いになじみが深いとは言いがたい。
観光局によると、浦和区への関心が高まったきっかけは、局の日本事務所に勤務する日本人職員が昨年7月にソロモン諸島を訪れた際、政府の観光担当者に「ウラワ島と同じ読みの浦和という街がある。交流してみてはどうか」と提案したことだった。
サッカーJ1浦和レッズの地元である浦和区と同様、ソロモン諸島でもサッカーは国民的スポーツだ。政府担当者への提案後、現地の新聞に「サッカーを愛する浦和という街が日本にある」との記事が載るなど、にわかに「浦和ブーム」が起きたという。世論の盛り上がりを受け、観光局は今年6月、くだんのツイッターへの投稿を行った。
ソロモン諸島側は今後、さいたま市との本格的な交流を模索する構えだ。ウラワ島を所管するマキラ・ウラワ州のジュリアン・マカア首相は取材に対し「互いにサッカーが盛んという共通点は興味深く、浦和には浦和レッズという強豪チームがあることも知った。将来的にさいたま市と州の関係が発展し、姉妹都市となる可能性にも期待したい」と書面で回答を寄せた。
さいたま市の清水勇人市長も「国民的スポーツがサッカーだとうかがい、不思議なご縁を感じている。話題になったことをきっかけに相互理解を深めていきたい」と歓迎している。
(竹之内秀介)