官民ファンドの産業革新投資機構(JIC、東京都千代田区)は、主に「グロース」と呼ばれる成長期のベンチャー企業を投資対象とするベンチャーキャピタル(VC)の子会社を設立する。現在登記手続き中で、来週中にも設立の見通し。民間のVCは主に創業初期のベンチャー企業への投資が中心だが、JICは事業の拡大を図る成長期のベンチャーの旺盛な資金需要に応える。
JICベンチャー・グロース・インベストメンツは、JICからの1200億円の出資金をもとにベンチャーファンド(基金)を立ち上げる。ファンドの運用期間は12年。
デジタル技術で様々な事業の革新につなげるデジタルインフォメーション(DX)や人工知能(AI)、ロボット、宇宙、素材・化学など、今後の日本の産業をけん引するような分野のベンチャー企業に、1社あたり約10億~約50億円を投資する。また投資にあたっては、民間企業などにも共同出資を呼びかける。
新会社の社長に就任するINCJの鑓水英樹・ベンチャー・グロース投資グループマネージングディレクターは8日、東京都内での記者会見で「イノベーションを促し、日本の産業および社会課題の解決につなげたい」と語った。
産業革新投資機構は平成30年9月、改正産業競争力強化法施行に伴い、旧産業革新機構から商号を変更して発足した投資会社。INCJは産業革新投資機構の100%子会社。