コロナ時代はロボットの出番だ 消毒作業、駅案内… 用途拡大中





オムロンの除菌用ロボット。カナダの企業が紫外線照射機を搭載した(オムロン提供)
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、医療施設や公共施設などでのロボットの活用が加速している。消毒作業などをロボットにさせることで、労働力不足の解消に加え、感染リスクの低減にもつながる。コロナ禍で生まれた新たな用途に、既存のロボットの改良や活用が広がっている。

 オムロンの消毒ロボットは、殺菌・消毒効果のある独自の紫外線照射機を搭載し、病院内などを動き回る。施設内のマップ情報を把握させ、自動で走行。前後にそなえたレーザースキャナーで検知した障害物を避けながら、消毒作業を続ける。

 元は工場内での運搬作業用として販売していたロボットだったが、4月、医療機器メーカーとの共同開発で消毒機能を追加した。すでにポーランドやフランス、カナダなど10カ国以上の医療施設や宿泊施設などに納入。オムロンは「特に医療施設では、2次感染防止の観点などからニーズは高い」とする。

 用途の拡大に向け、国内外の約20社と提携しており、韓国通信キャリア大手のSKテレコムとの共同開発では、マスクを着けていない通行人に着用を呼び掛けたり、手指消毒液の配布や検温を行ったりする機能をもたせたロボットに仕上げた。

 パナソニックも、病院などで薬や検体を運ぶ自社開発のロボットを改良。除菌剤を噴霧しながら自動走行する仕様にし、病院などへの設置を進める。筑波大学発のロボットベンチャー、サイバーダインは、羽田空港で自動走行しながらソファや手すりなどを消毒するロボットを3月に稼働させた。

 消毒作業以外でも、接触の低減などコロナ時代を意識したロボット活用が広がる。オムロンは7月までに、京王電鉄の下北沢駅(東京都世田谷区)や近畿日本鉄道の大和西大寺駅(奈良市)で、乗り換えや周辺の観光地案内などをするロボットを納入。シャープは6月から、東京都内のホテルで小型ロボット「ロボホン」でチェックインできるサービスを導入した。

 調査会社の富士経済によると、業務・サービスロボットの世界市場は2019年の1兆9819億円から、25年には4兆6569億円まで拡大する見込み。調査では新型コロナ感染拡大の影響は含まれておらず、同社は「感染予防の観点から、サービス産業の分野ではさらにロボットの需要が高まるとみられる」と話す。



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