【シネマプレビュー】「ステップ」





(C)2020映画『ステップ』製作委員会

 涙した。しかも何度も。久しぶりにじわっと心が温まってくる作品に出合えた。原作は、家族が再生していく姿を描いてきた小説家、重松清の「ステップ」。大切な人を失い、残された者たちが新たな一歩を踏み出す物語だ。主人公のシングルファーザーと娘の10年間、そして逝った妻との10年間を描いている。

 結婚3年目、30歳の若さで妻に先立たれた健一(山田孝之)。突然1歳半の娘の美紀と2人きりの子育て人生が始まる。トップセールスマンのプライドを捨て、時短勤務が許される部署へ異動。何もかも予定外の、うまくいかないことだらけの毎日が始まった。

 主人公の健一を見守る登場人物には豪華俳優陣が結集。まるで実の息子のように健一と接する義父に國村隼(じゅん)、夫とともにサポートする義母を余貴美子(よ・きみこ)。健一が悩みを相談する同僚役に広末涼子。さらに美紀が通う保育園の先生役に伊藤沙莉(さいり)や亡き妻の面影があるカフェの店員役を川栄(かわえい)李奈が好演している。

 当初予定していた150館を上回る規模で公開予定。17日から東京・丸の内TOEI、大阪・梅田ブルク7などで全国公開。1時間58分。(啓)

★★★★☆

 (★5傑作 4見応え十分 3楽しめる 2惜しい 1がっかり ☆は半分)



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