【ワシントン=黒瀬悦成】エスパー米国防長官は17日、南北戦争(1861~65年)で奴隷制を支持した南部連合政府と南軍が使用した旗に関し、国内外の全ての米軍基地や米軍施設、航空機や車両、艦船で掲揚や掲示を実質的に禁止すると発表した。トランプ大統領は南軍旗の掲揚を擁護する立場を崩しておらず、エスパー氏との摩擦が強まる可能性も出てきた。
エスパー氏は文書で、今後も使用が認められる旗として、国旗や州旗、軍の部隊旗などを列挙し、南軍旗を含めなかった。
文書は南軍旗を禁止すると明記したわけではないものの、「私たちが掲げる旗は、秩序や規律、すべての人に威厳と尊厳をもって接する、分断の象徴を拒絶するといった、米軍の責務に一致しなければならない」と強調した。
白人警官による黒人暴行死事件を受け、米国内では南軍旗を「黒人差別の象徴」として撤去する動きが急速に拡大。これに対しトランプ氏は、全米最大の自動車レース競技団体NASCARによる会場への南軍旗の持ち込み禁止措置や、国防総省による南軍の将官の名前を冠した米軍基地の名称変更の提案に全面的に反対している。