児童8人が殺害された平成13年の大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)事件の遺族に脅迫文を送ったとして、大阪府警捜査1課は20日、脅迫容疑で、高知県香南市野市町本村の小学校講師、近森公和(きみかず)被告(42)=別の脅迫罪などで起訴=を逮捕した。付属池田小には昨年5月以降、同様の文書が十数通届いており、同課は近森容疑者が送ったとみている。
逮捕容疑は昨年10月15日ごろ、遺族の名前を挙げて「先生をいじめるなら制裁を加える」などと記した文書を同校あてに郵送し、遺族を脅迫したとしている。同課によると「先生を批判していると知り怒りがわいた」と容疑を認めている。消印は高知市内の郵便局で、差出人は「近藤洋一」という偽名だった。
同校には昨年5月ごろから約1年にわたり、「近藤洋一」を差出人とするはがきや封筒が届いていた。ほとんどが遺族を中傷する内容で、「生命をたたき潰す」といった文言も書かれていた。
近森容疑者は、東日本大震災で津波の犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の児童の遺族を文書で脅したとして、今年6月5日に脅迫容疑で宮城県警に逮捕され、その後、脅迫罪などで起訴されている。
付属池田小と大川小に届いた封筒に付着したDNA型が一致したことなどから、大阪府警と宮城県警が共同で捜査。脅迫文の内容と似た書き込みがインターネット上で見つかり、IPアドレスから近森容疑者が浮上した。
同課によると、近森容疑者は今年4月から高知県内の公立小学校に講師として勤務。遺族との接点はないとみられる。
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大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件平成13年6月8日午前10時10分すぎ、大阪教育大付属池田小の校舎に、宅間守元死刑囚=事件当時(37)=が侵入、包丁で児童らを次々と襲った。2年の女児7人と1年の男児1人が死亡、1、2年生13人と教員2人が重軽傷を負った。元死刑囚は現行犯逮捕され、15年に死刑判決が言い渡された。元死刑囚が控訴を取り下げ刑が確定し、16年9月に執行された。