落語家・三遊亭円楽(70)がプロデュースし、東西の人気落語家26人が競演する「落語大手町2020」(産経新聞社、読売新聞社主催)が東京・大手町のサンケイプラザなどで25~27日に開催される。芸歴50年の節目を迎えてもなお精力的に活動を続ける円楽は、「生ならではの高座の魅力を届けたい」と話している。
近年は立て続けに大病に見舞われ、今も肺がん、脳腫瘍の治療を続けながら高座を務める。「毎年嫌なことがあると思っていたら、今年は新型コロナウイルスで社会全体が自粛だもんね」。今回の落語会も感染拡大防止のため、座席数を減らすなどして開催する。
コロナ禍で寄席や落語会が中止となる中、インターネットを活用した配信に取り組むはなし家も増えた。それでも、客の反応が直にわかる生の高座は別格といい、古典落語の大岡政談ものになぞらえて「三方一両損ですよ。はなし家も主催者も身を切らなきゃならない。お客さんだって来たい人全員が来られるわけではないけれど、とにかく動きたいというのがわれわれの素直な気持ち」と話す。
“なまもの”の魅力についても言及し、「高座は毎回違うもの。芸人と同じ空気感を共有したとか、歴史を一緒に過ごしたとか、(落語会に)いた者勝ちですよ」と呼びかける。
出演者には、東京から円楽のほか柳家権太楼(やなぎや・ごんたろう)、春風亭昇太ら、上方からは桂文枝(かつら・ぶんし)、笑福亭鶴瓶、桂文珍とそうそうたるメンバーがそろう。柳亭小痴楽(りゅうてい・こちらく)、桂宮治(かつら・みやじ)ら若手にも注目が集まる。
気になるはなし家がいれば、自ら出演交渉に奔走した。リレーのバトンパスに例え、「もうひとつ上がってくれれば…という者も加えて、チャンスを与えてますよ。前を走ってきた年かさの人たちは、次を託せる若者を待っている」と期待を込める。出演者同士の強いライバル意識も「面白いけんかになるから、それも舞台で見せちゃえってね」と話し、東西の大物が競う妙味をアピールした。
また、将来像についても「いずれは東京全体に発展させたいよね。ブームを仕掛け、話題性を持たせることが落語界を盛り上げていくためにも重要だと思うからさ」と青写真を描いた。
チケットの問い合わせはキョードー東京、0570・550・799(平日午前11時~午後6時。土日祝午前10時~午後6時)。一部の出演者を除き、終演後にアーカイブ映像の有料配信も行う。詳しくは「チケットぴあ」のホームページなどで。