安倍晋三首相は22日、官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・安倍晋三首相)の会合で、大規模イベントの人数の上限を5千人までとする制限について、8月末まで維持する考えを示した。政府は8月1日から5千人という上限を撤廃し、社会経済活動を本格軌道に乗せたい考えだったが、東京都を中心に全国的に感染者が増加傾向にあることを踏まえ、方針を転換した。
首相は「東京を中心に新規感染者数が増えている。5千人の上限を8月末まで維持しつつ、その間の感染状況を踏まえながら判断する」と述べ、8月末に改めて制限緩和の可否を検討する考えを示した。
政府は当初、収容率50%とする制限は維持し、5千人の上限は撤廃する計画だった。コンサートやプロスポーツなどのイベントは今月10日以降、入場者数5千人以内、収容率50%以内のどちらか小さい方を限度として開催されている。
西村康稔経済再生担当相は記者会見で、全国的な集客が予想される祭りも制限を緩和しない考えを示した。当初は参加者間の距離を十分に取るなどの条件を満たせば、8月1日から一部で開催可能としていた。
このほか、首相は経済を動かすため、検査体制を強化する考えを重ねて強調し、業種別ガイドラインの順守の徹底も求めた。高齢者らへの感染拡大を防止するため、高齢者施設での出張方式の検査実施に向け検討を進める意向も示した。
これに先立つ新型コロナ対策分科会(会長・尾身茂・地域医療機能推進機構理事長)では、イベントの制限緩和を見送るべきだとする意見が大勢を占めた。
分科会で政府はワクチン接種について、医療従事者▽高齢者▽基礎疾患のある人▽妊婦-らを優先する案を示した。