近赤外線を使った画期的な「光免疫療法」をご存知でしょうか? 頭頸部がん治療で大きな成果を上げているこの治療法は、他の種類のがんへの応用も期待され、がん治療の未来を照らす希望の光となっています。この記事では、光免疫療法の最新動向、治療効果、そして将来の可能性について詳しく解説します。
光免疫療法とは?その仕組みと利点
光免疫療法は、がん細胞に特異的に結合する抗体に、近赤外線を当てることで化学反応を起こす「IR700」という物質を搭載した薬剤を静脈注射する治療法です。IR700ががん細胞に集積した後、近赤外線を照射することでがん細胞のみを破壊します。
メリット
- 副作用が少ない:抗がん剤のような強い副作用が少ないため、患者のQOL(生活の質)を維持しやすい。
- 再発リスクの低減:がん細胞をピンポイントで攻撃するため、再発リスクを抑える効果が期待される。
- 様々な種類のがんへの応用可能性:現在、頭頸部がん以外のがんへの臨床研究も進められており、将来的には多くの種類のがんに適用できる可能性がある。
光免疫療法のイメージ図
頭頸部がん治療における光免疫療法の成果
2021年に保険適用となった頭頸部がんに対する光免疫療法は、既に700件を超える治療実績があり、大きな成果を上げています。特に上咽頭がんにおいては、19例中15例で完治、残り2例も症状の改善が見られるなど、驚くべき治療効果が報告されています。
専門家の声
「光免疫療法はまだ発展途上ですが、多くの医療機関との連携を通して適用範囲を広げていきたいと考えています。」(小林久隆氏、米国立衛生研究所分子イメージング部門主任研究員・関西医科大学附属光免疫医学研究所長)
がん治療の現状と光免疫療法への期待
日本におけるがんの現状は深刻で、国民の2人に1人ががんに罹患し、死亡原因の第1位となっています。既存の治療法に加え、新たな治療法の開発が喫緊の課題となっています。
光免疫療法の未来
光免疫療法は、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、胆嚢がんなど、他の種類のがんへの応用も研究されており、がん治療の新たな選択肢として大きな期待が寄せられています。 今後の研究の進展により、より多くのがん患者にとって希望となることが期待されます。
まとめ:光免疫療法の可能性
光免疫療法は、副作用が少なく、再発リスクも低い、画期的ながん治療法です。現在、頭頸部がん治療で大きな成果を上げており、他の種類のがんへの応用も期待されています。がん治療の未来を拓く可能性を秘めたこの治療法に、今後も注目が集まるでしょう。