不動産民意が火付け役…１６年ぶりに火がついた「行政首都移転」（ハンギョレ）
「世宗市が狂奔」……「戸建て失踪」マンション価格が次々10億を突破（韓国経済新聞・朝鮮語）
共に民主党が掲げた「行政首都移転」問題で政界がざわついている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が政治的勝負をかけた未完の国政課題が「不動産民意」と改憲という火付け役と出会ったことで、16年ぶりに再び火がついた格好だ。
行政首都議論に火をつけたのは、176議席の巨大与党を率いるともに民主党のキム・テニョン院内代表だ。キム代表は20日の交渉団体代表演説で、「国会と大統領府を世宗市(セジョンシ)に移転し、名実共に行政首都移転を完成させなければならない」との主張を展開した。キム院内代表の発言が出ると、約束でもしたかのように党の主導権争いの走者たちもこれに加勢した。翌日、イ・ナギョン議員は「与野党が合意するか、憲法裁に再び意見を問うという方法があり得る」と支持を表明し、キム・ブギョム前議員も「ますます首都圏に集中していく現実に対して、対策を立てても限界があるという問題意識から(行政首都移転論が)出たようだ」と加勢した。パク・チュミン議員も22日のラジオインタビューで「党代表になれば首都移転をより積極的に推進する」と述べた。盧武鉉政権時代に行政自治部長官を務めたキム・ドゥグァン議員はこの日、大統領府、国会、最高裁判所、憲法裁判所をすべて世宗市に移転する行政首都特別法案を党内の関連タスクフォース(TF)にかけるとし、早急に取り組む姿勢を示した。
（引用ここまで）
「住宅価格が異常です。不動産費用が2億ウォン台だが、住宅価格が10億ウォンを超えるというのが話になっています」、「元から上昇する雰囲気だったが、今回これでまた爆発でしょう」、「10億ウォンはもはや当然。さらに高騰するでしょう。ソウル市内やヨイドのマンションの値段を見てみなさい」… （世宗市現地公認仲介士たち）
世宗市の住宅価格が瞬時に数億ウォンずつ急騰した。物件は市場に入り、出ている物件は一気に取引額が2億～3億ウォンほど上がった。突然の住宅価格の上昇に市場では戸惑いを隠せない。そうでなくて上昇する雰囲気だったものが、与党院内代表が油を注いだとの評価が出てくる。
（引用ここまで）
面白い。
ムン・ジェイン大統領が不動産対策に失敗し続けていることはもう何度も何度も述べてきたことですが。
そのツケを世宗への首都機能移転に向けようとしているとのこと。
……まあ、ソウルからの行政首都移転構想はムン・ジェインの師匠筋にあたるノ・ムヒョンの念願でしたからね。
最終的には憲法裁判所に「憲法に明記されてはいないけども、ソウルが首都だと暗黙的に規定されているので首都移転は違憲」という驚愕の決定を下して、いくつかの官庁庁舎が移転して終了でした。
本来は国会等も移転する本格的遷都構想だったのですが。
で、さらにソウルではグリーンベルト（環境保全地域）指定を解除しないと決定してしまった。
土地の供給がないので、すでに老朽化したマンションの再開発ていどしか手立てがなく、これ以上の大幅な不動産供給は難しい。
ムン・ジェインはソウルの不動産価格下落を目論んでいるのですが、決定的な対策を出せずにいるわけです。
環境保全、すなわち「キレイナ韓国」もムン・ジェイン政権の大きな看板ですから。
というわけで、ノ・ムヒョンの夢を受け継いで世宗市への遷都計画を一気に進めようとしているということですね。
まだ与党重鎮から「こういう構想はどうだろう」くらいの発言があったていどなのですが。
すでに世宗市の不動産価格が数千万円単位で上昇しているとのこと。
要はソウル市に集中していた需要が世宗市にも飛び火した……というだけで。
現在、世界規模で大幅な金融緩和が行われていてその行き先が模索されているという状況です。
金（ゴールド）価格の上昇もその一環といえますし、遅ればせながら銀やプラチナも高くなってきました。
アメリカの株式市場の高騰具合も資金だぶつきを受けてのことです。
で、韓国ではもっともポピュラーな資産である不動産に資金が向かっている、ということになるのでしょう。
ところで世宗市に不動産を持っているのは誰か、という話になるんじゃないでしょうかね。
庁舎が移転してきたこともあって、世宗市には多くの公務員が在住しています。「元々ソウルにマンションを持っていたけども、世宗に仕事場が移動したので世宗にも買った」なんていう公務員も多くいます。
彼らは「政権からの命令で複数の不動産を持つ公務員は人事評価点が低くなることになった」現状でも、不動産を売ろうとはしていません。むしろ出世を諦める方向になってます。
というわけで、公務員とそうでない人々の間で分断がさらに拡がるのかも知れません。
ホントにいろんな意味で分断国家だよなぁ……。
